レトロが息づく別府・鉄輪温泉で 私をほぐす、素(す)っぴん旅|にっぽん旅めぐり レトロが息づく別府・鉄輪温泉で 私をほぐす、素(す)っぴん旅|にっぽん旅めぐり

2025年6月5日

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レトロが息づく別府・鉄輪温泉で 私をほぐす、素(す)っぴん旅|にっぽん旅めぐり

# 別府 # 別府温泉 杉乃井ホテル # 大分 # 季節 # 温泉
ゆるやかな扇状地に沿って街と自然が融合する、風光明媚な温泉地、鉄輪(かんなわ)。大分県別府市に位置しており、大分空港から車で約50分。別府・鉄輪温泉と言えば地獄めぐりの中心地として有名ですが、実は地獄が並ぶエリアとは反対側の『いでゆ坂』こそ、オススメの観光スポット。湯けむりが立ち上り、湯治(とうじ)で栄えた町は、当時の面影を残しながら地域の魅力を発信し続けています。

今回は杉乃井ホテルのスタッフが、心も体も「素」になれる、いでゆ坂滞在プランをご紹介します。
こちらが、いでゆ坂入口。バス停・鉄輪待合所のすぐ隣にあります
こちらが、いでゆ坂入口。バス停・鉄輪待合所のすぐ隣にあります

一遍上人の像、『いでゆ坂ポケットパーク』

11:00 チェックアウト→いでゆ坂へ

いでゆ坂に到着したら、まずは散策。勾配が多い地域なので、荷物は車に置いておくか、鉄輪待合所に預けておくのがオススメ。いでゆ坂には名物の『鉄輪むし湯』のほか公共の立ち寄り湯が多いので、タオルや洗顔料を持っていると便利です。

いでゆ坂の中腹にあるのが、鉄輪温泉開湯の祖とされる一遍上人の像。自分の体の悪い部分と同じ場所にお湯をかけ、病気平癒を祈る方が多いそう。また一遍上人像の目の前や、『いでゆ坂ポケットパーク』には無料の足蒸し・足湯があるので、ちょっと休憩したい時にピッタリです。
多くの人が訪れる、一遍上人の像
多くの人が訪れる、一遍上人の像
目の前にある無料の足蒸し。足だけでもしっかり体が温まります
目の前にある無料の足蒸し。足だけでもしっかり体が温まります

かんなわ六画ストア

12:00〜 かんなわ六画ストアで買い出し

鉄輪でぜひ体験していただきたいのが、地獄蒸し。地下から噴き出る温泉の蒸気を使った蒸し料理です。食材の調達にオススメなのが、青果店『かんなわ六画ストア』。店主の稲垣 健児(いながき けんじ)さんは、ウェディングプランナーを経て農業に転身。「農家が丹精込めて育てた野菜を直接届けたい」という想いで、閉店した煎餅屋を2年半前に改装し、青果店・六画ストアをオープンしました。
オシャレで入りやすい外観の、かんなわ六画ストア
オシャレで入りやすい外観の、かんなわ六画ストア
黒板には蒸し時間の目安が書かれているので、食材選びのご参考に
黒板には蒸し時間の目安が書かれているので、食材選びのご参考に
店には色とりどりの野菜や果物が並び入りやすい雰囲気。取材に伺った際にも、観光客や常連さんがドリンク片手に、お店の方と談笑していらっしゃいました。

「地元の人に日常的にお店を使ってもらいたいから」と野菜がそのまま並ぶ店頭ですが、地獄蒸しセットをお願いすれば、稲垣さんが野菜を見繕ってくれます。
冬の人気メニュー・おでんを仕込む、店主の稲垣さん
冬の人気メニュー・おでんを仕込む、店主の稲垣さん

「根菜・トマトなどの果菜(かさい)・ブロッコリーなどの葉茎(ようけい)菜のバランスを考えながら選んでいます。また春はアスパラ、秋はきのこなど、旬の野菜も必ず入れますね。ここの野菜は契約農家から直接仕入れているので、鮮度抜群。特に地獄蒸しは野菜の味をシンプルに味わえるからこそ、同じ野菜でも季節によって味の違いを感じられるのが魅力ですね」と稲垣さん。確かに見繕っていただいた野菜は、彩り豊かで思わず歓声が上がるほど。

稲垣さんに選んでいただいた、彩り豊かな野菜。こちらで2人前
稲垣さんに選んでいただいた、彩り豊かな野菜。こちらで2人前
注文を受けてプレスするフレッシュジュースは看板メニュー
注文を受けてプレスするフレッシュジュースは看板メニュー

ほかにも六画ストアで欠かせないのが、フレッシュジュースです。注文を受けてからプレスして作るジュースはキウイ・バナナ・パイナップルをはじめ、いちごや梨など旬の果物がメニューに並び、SNSでも人気。地獄蒸しのお供やお風呂上がりに注文するお客様が多いそうですよ。

大黒屋

12:30〜 大黒屋へ

鮮やかな地獄蒸しセットを手に、徒歩2〜3分の大黒屋へ。こちらは宿泊がメインの湯治宿ですが、予約をすれば地獄蒸しに対応してくれます(※1)。大黒屋でお話を伺ったのは、大黒屋の若旦那・安波 拓哉(やすなみ たくや)さん。福岡のホテルでバーテンダー・ソムリエをしていましたが、子育てを機に、実家である大黒屋を継ぐことになりました。

今回は特別に豚肉ともやしをご用意していただき、ボリューム満点!「こちらは時間がかかるので、分けて蒸しますね」と慣れた手つきで食材を分け、まずは根菜類を湯気立ち上る釜の中へ。続いて残りの野菜・お肉を蒸し釜に入れていただき、ワクワクしながら完成を待ちます。

※1
大黒屋(0977−66−2301)まで事前にご予約ください。
営業時間:11:00〜15:00
料金:700円~
料金には、地獄蒸しの利用料・食事スペース・調味料の貸し出し費用を含みます。食材はお客様ご自身でお持ち込みください。
蒸し時間によって野菜を分ける安波さん
蒸し時間によって野菜を分ける安波さん
いざ、釜の中へ。思わず「いってらっしゃい!」と声をかけたくなる
いざ、釜の中へ。思わず「いってらっしゃい!」と声をかけたくなる
そしていよいよ蒸し上がり!湯気の中から出てくるカラフルな野菜は、まさに写真映え抜群!塩・コショウ・ポン酢、さらに材料の調合から考えた自家製味噌をご用意いただいているほか、調味料の持参もOK。じっくり蒸された野菜は素材の旨味が強く、シンプルな美味しさをしみじみ感じます。「地獄蒸しは、鉄輪の自然が作る料理。その場所だからこその料理を楽しむことが、旅の醍醐味だと思います」という安波さんの言葉に納得です。
キレイに蒸し上がった野菜やお肉。蒸しても彩り鮮やかで、動画・写真映え抜群!
キレイに蒸し上がった野菜やお肉。蒸しても彩り鮮やかで、動画・写真映え抜群!

ちなみに大黒屋の安波さんと六画ストアの稲垣さんは前職での経験を活かし、月1回、『湯けむりBAR』を開催しています。一遍上人像の横の旧鉄輪むし湯跡をカウンターに、カクテルや地獄蒸しを活かしたおつまみを楽しめるイベントです。「今でも温泉文化が根付いている地域だから、過去の遺跡と現代をつなぐ試みがしたいと思ったんです」と安波さん。観光客・地元の方問わず盛り上がるイベントになっているそうです。

安波さん(左)・稲垣さん(右)が中心となって月1回行なわれる湯けむりBAR
安波さん(左)・稲垣さん(右)が中心となって月1回行なわれる湯けむりBAR
卵やトルティーヤなど地獄蒸しを使ったおつまみが並ぶ
卵やトルティーヤなど地獄蒸しを使ったおつまみが並ぶ
当日は、地元の人・観光客が一緒になって盛り上がる
当日は、地元の人・観光客が一緒になって盛り上がる
元バーテンダーの経歴を活かし、自慢のカクテルを提供する安波さん
元バーテンダーの経歴を活かし、自慢のカクテルを提供する安波さん

鉄輪むし湯

14:00〜 鉄輪むし湯でリフレッシュ

お腹を満たした後はぜひ、鉄輪の代名詞と言える『鉄輪むし湯』へ。蒸し湯は鎌倉時代に一遍上人が考案したとされており、蒸気で満ちた石室の中に、岩盤浴のように浴衣を着たまま寝転んで入るスタイルです。係の方の案内で石室に入って驚いたのは、石菖(せきしょう)の爽やかな香り。石菖の香りに癒やされながら、豆電球が灯る薄暗い石室の中で過ごす時間は、身も心もほぐれるひととき。8分で一度声をかけていただき、最長10分で退場するのですが、10分終えた時には汗だくに。爽快感を感じながら、併設された温泉で汗を流します。
幻想的な雰囲気と爽やかな香りに包まれる、癒しの時間
幻想的な雰囲気と爽やかな香りに包まれる、癒しの時間
係の人にご案内いただけるので、初めての方でも安心
係の人にご案内いただけるので、初めての方でも安心
写真提供:別府市観光課
「石菖は清流のある場所で採れる、珍しい植物。温度は50〜60℃なのでサウナが苦手な方でも入りやすいですよ」と説明してくれたのは、鉄輪エリアの活性化に取り組んでいらっしゃる、鉄輪むし湯センター長の安波 照夫(やすなみ てるお)さん。最近は20〜30代のグループのお客さまが多いそうで、「薄暗い部屋で横になってじんわり体を温めることで、体も心も癒やしてほしいという一遍上人の想いが、忙しい現代の人に合っているように感じます」という安波さんの説明も納得の幻想的な空間でした。

冨士屋一也百(ふじやはなやもも)

15:30〜 冨士屋一也百(ふじやはなやもも)でティータイム

時間がゆったり流れる鉄輪。『冨士屋一也百 ホール&ギャラリー』でのティータイムはいかがですか。こちらは明治〜平成まで旅館として営業されていた旧冨士屋旅館の本館建物に再生工事を施し、2004年からギャラリー・カフェ・セレクトショップとして生まれ変わったお店です。
建物へと続く玄関・庭も風情あり。ぜひご注目を
建物へと続く玄関・庭も風情あり。ぜひご注目を
レトロで居心地の良い店内は、旅館時代から使っている家具も多いそう
レトロで居心地の良い店内は、旅館時代から使っている家具も多いそう
いただいたのは、オリジナルコーヒー・低温スチームで作った梅シロップ入りのティーソーダ、そしてドイツの森のケーキとアップルパイです。明治時代のレトロな雰囲気の中にアンティーク家具がマッチし、まさに時を忘れる居心地の良さ。ケーキの美味しさはもちろん、爽やかな酸味と優しい甘さの梅シロップが、お店の雰囲気にピッタリです。
中央から、完熟梅シロップのアールグレーティーソーダ、オリジナルコーヒー、ドイツの森のケーキ、アップルパイ
中央から、完熟梅シロップのアールグレーティーソーダ、オリジナルコーヒー、ドイツの森のケーキ、アップルパイ

「この建物、本当は閉館と同時に取り壊そうと思っていました。しかし諦めきれず、解体日当日、やってきた解体業者さんにその場でお断りをしたのです」と、オーナーの安波 治子(やすなみ はるこ)さん。

入口に併設されているショップ
入口に併設されているショップ
地元産を中心としたこだわりの品が並ぶ
地元産を中心としたこだわりの品が並ぶ
入口にはショップも併設されています。作家さんの食器や地元の工芸品のほか、低温スチームで作ったコンフィチュールは絶品!地元産のキウイやかぼすなど、ぜひお土産にしていただきたい逸品。
建物を残しながら活かす方法を試行錯誤し、『冨士屋一也百 ホール&ギャラリー』は「人が集う場」という本来の役目につながるカフェやギャラリーとして運営されてきました。そしてこの春、旧冨士屋旅館の新館部分を宿として再オープンすることに。もちろんカフェは引き続き運営されるとのこと。ぜひ『冨士屋一也百 ホール&ギャラリー』で穏やかなひとときをお過ごしください。

「すっぴん」で癒やされる、鉄輪時間

今回、鉄輪の皆さんにお話を伺って感じたのは、「素」の心地よさ。素材の味を楽しむ地獄蒸しや、心も体も素になれる地獄蒸し湯。観光客と地元の人が隔てなく交流する湯治文化を受け継ぐ、湯けむりBARや冨士屋一也百。さらに点在する立ち寄り湯では、地元の人やほかの観光客との、まさに裸の付き合いが楽しめたり…。気を張ったり頑張ったりする毎日が当たり前だからこそ、鉄輪でのひとときを「すっぴん」でくつろいでほしい。そんな想いを感じる旅でした。
猫も地熱の温かさにまったり
猫も地熱の温かさにまったり
あちこちから湯気が立ち上る鉄輪。夜はより幻想的な雰囲気に
あちこちから湯気が立ち上る鉄輪。夜はより幻想的な雰囲気に

杉乃井ホテル×鉄輪で、ほっこり安らぐ「素っぴん旅」を。

▲展望露天風呂「宙湯」
▲展望露天風呂「宙湯」
▲客室イメージ
▲客室イメージ
鉄輪温泉からバスで10分ほどの場所にある、杉乃井ホテル。プロジェクションマッピングやSUGINOI BOWL & PARKといった豊富なアクティビティをはじめ、アミューズメント施設のようなワールドダイニング、さらには今年1月にオープンしたばかりの新館・星館など、非日常の休息とエンターテインメントを楽しめる温泉リゾートです。

また杉乃井ホテルでは、地元との「地域共創プロジェクト」を進めています。その一環として、地域とホテルとタッグを組んだ特別プランをご用意しています!
ホテルでゆったりとした時間が流れる「鉄輪すっぴん旅」と共に、別府の魅力を堪能してください。
      • 別府温泉 杉乃井ホテル

      • https://suginoi.orixhotelsandresorts.com/

      • 〒874-0822 大分県別府市観海寺1

      • 鳥栖JCT→大分自動車道→東九州自動車道→別府IC【1時間40分】(別府ICより車で約5分)

        杉乃井ホテルと別府駅をつなぐ無料シャトルバスを運行しております。(予約不要)

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